ナイロンジャンパーという服の正体 ── アメリカの日常から生まれた軽い防寒着
古着屋でよく見かける「ナイロンジャンパー」。
スタジャンのようでもあり、コーチジャケットとも少し違う。
名前がはっきりしないこの服は、長いあいだ「なんとなく」で扱われてきました。
BONでは、この曖昧な服を、
一度きちんと立ち止まって整理しておきたいと思っています。

ナイロンジャンパーは、流行から生まれた服ではない
このタイプのナイロンジャンパーは、
ファッションの流行やデザイナーの発想から生まれた服ではありません。
1970〜90年代のアメリカで、
「少し寒いときに羽織る服」として必要とされていました。
仕事終わり。
夜の集まり。
クラブハウスの前。
銀行の裏口や倉庫の出入り口。
特別な場面ではなく、
日常のすぐそばで使われていた服です。
この服が使われていた場所
ナイロンジャンパーが使われていたのは、
スタジアムやステージではありません。
- 地元企業
- 銀行
- 工場
- 運送会社
- 労働組合
- ボウリングリーグ
- カークラブや地域クラブ
どれも、
人が集まり、働き、関係を続けていく場所です。
その中で、
ナイロンジャンパーは「制服」でもあり、
「防寒着」でもありました。
種別としての位置づけ
BONでは、このタイプの服を次のように捉えています。
ナイロン・コーチジャケットをベースに、
現場ごとにアレンジされた実用服
理由はシンプルです。
- フロントはスナップボタン仕様
- 軽量なナイロン素材
- 折り返し襟
- 個体によっては裾や袖にリブ
いわゆるウール×レザーのスタジアムジャケットとは違い、
ミリタリーやスポーツ専用のブルゾンでもありません。
必要に応じて形が変わった、
とてもアメリカらしい服 です。
背中に残る文字と、名前の刺繍
このナイロンジャンパーの多くには、
背中や胸元に文字が残っています。
- 企業名
- クラブ名
- ロゴ
- 個人名の刺繍
それは、飾るためのデザインではなく、
「どこに属していたか」を示すための印でした。
誰かが、
どこかに通い、
何年も同じ場所に立っていた。
その事実だけが、
静かに残っています。
なぜ、今も残っているのか
この服が今も古着として残っている理由は、
とても現実的です。
- 丈夫で長く使えた
- 捨てる理由がなかった
- 個人名入りで譲りにくかった
- 倉庫やクローゼットに眠っていた
流行遅れになったから捨てられた服ではなく、
役目を終えて、静かに残っていた服。
だからこそ、
今この時代に、まとめて姿を見せています。
売る前に、記録しておきたい服
BONでは、
このナイロンジャンパーを
- 大量入荷
- お買い得
という言葉でまとめたくありません。
まずは、
- どんな場面で使われていたのか
- なぜこの形なのか
- なぜ今、残っているのか
を、記録しておきたい。
その上で、
必要な人の手に渡ればいいと考えています。
あたたかい服には、物語がある
ナイロンジャンパーは、
派手な主役ではありません。
でも、
人の時間を、
人の暮らしを、
静かに支えてきた服 です。
BONでは、
この服を「ただのナイロン」で終わらせず、
ひとつの記録として残していきます。
あたたかい服には、
物語があります。
それが、
ナイロンジャンパーという服の正体です。
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