アメリカの企業文化をまとった赤いスタジャン。USA製HILTONとIGTの物語
赤いサテン生地に、白い企業ロゴ。
襟元や袖口には、赤・青・白のラインが走る。
一見すると、アメリカのスポーツチームが着ていそうなスタジャンです。
けれど、背中に書かれているのはチーム名ではありません。
International Game Technology。
アメリカのゲーム産業に関わる企業、IGTの名前です。
なぜ、ゲーム関連企業のロゴがスタジャンに入っているのでしょうか。
今回は、一着の古着から、アメリカの企業文化と服の関係をたどってみたいと思います。

1. IGTとは、どんな企業なのか?
IGTは、International Game Technologyの略称です。
その歴史は、1970年代のアメリカにさかのぼります。
スロットマシンやビデオポーカーなど、カジノ向けゲーム機器の開発・製造で知られるようになった企業です。
1980年代には、コンピューター技術を取り入れたゲーム機器やシステムが発展し、カジノ産業も変化していきました。
ゲームといっても、家庭用のテレビゲームとは少し違います。
ラスベガスなどのカジノで使われる機械や、その運営を支える技術。
IGTは、そうしたアメリカの娯楽産業の歴史と深く関わってきました。
今回のスタジャンの背中には、その企業名が大きくプリントされています。
2. なぜアメリカの企業は、ロゴ入りの服を作るのか?
アメリカの古着を見ていると、さまざまな企業の名前が入った服に出会います。
自動車会社、運送会社、飲食店、工場、そしてゲーム関連企業。
こうした服は、企業の制服やスタッフウェア、イベント用の衣類、記念品、販促品など、さまざまな目的で作られてきました。
服に企業の名前を入れることには、単なる宣伝以上の意味があります。
同じ職場で働く仲間としての一体感。会社や仕事への誇り。あるいは、イベントを記念するための特別な一着。
もちろん、今回のIGTスタジャンが、実際にどのような目的で作られ、誰に着られていたのかは分かっていません。
社員に支給されたものかもしれませんし、イベントや販促のために作られたものかもしれません。
その答えは、まだ見つかっていません。
けれど、企業の名前を背負った服が、長い時間を経て日本の古着屋に並んでいる。
そのこと自体が、少し面白いと思うのです。
3. HILTON ACTIVE APPARELという名前
このスタジャンの襟元には、もうひとつの名前があります。
HILTON ACTIVE APPAREL — MADE IN U.S.A.
HILTONは、アメリカのボウリングシャツで知られる老舗アパレルブランドです。
1950年代にはすでにボウリングシャツのメーカーとして知られ、スポーツウェアや、企業・団体向けのロゴ入りウェアなども手がけてきました。
特にボウリングシャツは、HILTONを代表するアイテムのひとつ。
アメリカのボウリング文化を語るうえでも、興味深い存在です。
今回のスタジャンも、そんなHILTONのスポーツウェアづくりを感じさせる一着です。
光沢のある赤いナイロン生地。
赤・青・白のラインが入ったリブ。
そして、背中に大きくプリントされたIGTの企業ロゴ。
ボウリングシャツで知られるメーカーが手がけた、ゲーム関連企業のスタジャン。
そこには、アメリカのスポーツ文化と企業文化が重なる面白さがあります。
正確な製造年代や製作目的は分かりません。
それでも、MADE IN U.S.A.のタグと企業ロゴは、この服の背景を知るための大切な手がかりになっています。
4. 赤いサテンと、アメリカらしい配色
このスタジャンで、最初に目を引くのは赤いサテン生地です。
光が当たる角度によって、明るく見えたり、深い赤に見えたりする。
ナイロン特有の光沢が、服に表情を与えています。
そして、赤・青・白のリブ。
アメリカのスポーツウェアを思わせる配色です。
胸元のロゴは小さく、背中のロゴは大きい。
前から見るとシンプルですが、後ろ姿には強い個性があります。
このバランスが、今回のスタジャンの魅力だと思います。
小さな金具に残る、もうひとつのメーカー名
フロントのスナップボタンをよく見ると、
「STOCKO」という刻印があります。
STOCKOは、ドイツにルーツを持つ
留め具メーカーとして知られる名前です。
アメリカ製のスタジャンに使われた、小さな金属部品。
普段は見過ごしてしまいそうな場所にも、
服づくりに関わったメーカーの名前が残っています。
小さな金具にも、メーカーの名前が刻まれています。
もちろん、この刻印だけでジャケットの製造年代や、
金具の製造国が分かるわけではありません。
それでも、一着の服がさまざまな部品や技術によって
作られていることを感じさせてくれる、
興味深いディテールです。
5. 身幅77cm。ゆったりと着る一着
今回のジャケットは、表記サイズが確認できません。
実寸は次のとおりです。
- 着丈:約66.5cm
- 身幅:約77cm
- 裄丈:約88cm
身幅が非常に広く、ゆったりしたシルエットが特徴です。
着丈は比較的短めなので、横にボリュームのあるスタジャンらしい形を楽しめます。
スウェットやパーカーの上に羽織ったり、太めのデニムやワークパンツと合わせたり。
服そのものの存在感を生かした着こなしがおすすめです。
6. 古着として残っている時間の跡
このジャケットには、全体的にシワがあります。
また、内側のタグ付近には小さな穴があり、フロントのスナップボタンには塗装の剥がれも見られます。
スナップボタンの開閉は確認済みです。
新品のような状態ではありません。
けれど、こうした状態も含めて、今の一着を正しく見ていただきたいと思っています。
古着の魅力は、単に古いことだけではありません。
作られた背景や、長い時間を経て残ってきたことにも価値があります。
ただし、傷みをすべて魅力として片づけるのではなく、状態をきちんと伝えることも大切です。
7. 服の向こう側にある、知らない誰かの時間
このスタジャンを最初に着た人は、どんな人だったのでしょう。
IGTで働いていた人でしょうか。
会社のイベントに参加した人でしょうか。
それとも、まったく別の経緯で手に入れた人だったのでしょうか。
今となっては、分かりません。
けれど、背中には企業の名前が残っています。
服を見れば、その会社が関わってきた産業や、当時のアメリカの文化について調べるきっかけが生まれます。
一着の服から、知らなかった世界につながっていく。
それも、古着の面白さのひとつだと思います。
ぼんちゃん先生の古着Q&A
IGTって、どんな会社なの?
ぼんちゃん先生
IGTは「International Game Technology」の略だよ。
アメリカのカジノで使われるスロットマシンなど、ゲーム関連の機器やシステムで知られている企業なんだ。
今回のスタジャンには、その企業の名前が大きく入っているんだよ。
HILTONは、ホテルの名前なの?
ぼんちゃん先生
このタグのHILTONは、ホテルではなくアメリカのアパレルブランドの名前だよ。
特にボウリングシャツで知られていて、スポーツウェアなども作っていたんだ。
同じ名前でも、服のタグでは別の会社を指していることがあるから面白いね。
このスタジャンは、IGTの社員さんが着ていたものなの?
ぼんちゃん先生
その可能性はあるけれど、まだ分からないんだ。
企業ロゴ入りの服には、スタッフ用だけでなく、イベント用や記念品、販促品として作られたものもあるよ。
だから、ロゴがあるだけで「社員支給品」と決めつけないことが大切なんだ。
MADE IN U.S.A.なら、1980年代製なの?
ぼんちゃん先生
USA製というだけでは、製造年までは分からないよ。
タグやデザイン、素材、縫製などを組み合わせて年代を考えるんだ。
今回も1980〜90年代を思わせる雰囲気はあるけれど、正確な製造年は確認できていないんだよ。

IGT、HILTON、STOCKO。
一着のスタジャンに残された
アメリカの企業文化と服づくりの物語。
おわりに|企業の名前が残した、小さな物語
赤いサテンスタジャン。
背中には、International Game Technology。
襟元には、MADE IN U.S.A.の文字。
特別に高価な素材が使われているわけでも、誰もが知るファッションブランドのロゴが入っているわけでもありません。
それでも、この一着には、アメリカの企業文化を感じられる魅力があります。
服は、ときどき、その時代の仕事や暮らしを静かに伝えてくれます。
Furugi Bonでは、そんな服の背景も大切にしながら、一着ずつ紹介していきたいと思っています。
FURUGI BON ONLINE SHOP
物語の続きを、あなたの一着に。
アメリカのゲーム産業に関わるIGT。
ボウリングシャツでも知られるHILTON。
ふたつの企業の名前が重なった、
USA製の赤いサテンスタジャン。
鮮やかな赤い光沢と、大きな企業ロゴ。
服の背景を知ると、いつもの古着が
少し違って見えてくるかもしれません。
サイズやコンディションなどの詳細は、
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